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「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」最終回<再考>

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 「覇悪怒組」最終回<再考>


 「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」35周年を記念して、東映特撮チャンネルで毎週月曜日に2話ずつ公開されていた覇悪怒組が先週、最終回を迎えました。

 子供の頃に観た時には感じなかったことが色々あったので、まとめてみましたーー。




 さらば魔天郎


 「光の塔建設計画」を覇悪怒組に打ち明ける魔天郎。

 悪意ある大人によって傷つけられて心を病んだ少年、少女たちの心を癒すために、太陽の光子エネルギーを利用した塔を建設するという。





 計画の素晴らしさに賛同する覇悪怒組のメンバーだったが、ヒロシだけが協力を拒んだ。

 「光の塔は、傷ついた子供たちが祈った時、その心に見えればいいんじゃないのか。目的の為ならどんな手段を使ってもいいという考えには、俺はどうしても同意できない」





 その言葉を聞いた魔天郎は、最初の頃はイタズラばかりして周囲に迷惑をかけ、正義感の欠片も無かったヒロシの成長を実感したのかもしれない。

 「光の塔は、子供たちの心にあらしめよ・・・。素敵な考えだ。覇悪怒組の諸君、私の負けだ。私は、潔よく光の塔建設計画をとり止めよう」





 そう話すと、魔天郎は覇悪怒組への別れの言葉とともに宙に消えていった。

 「私はしばらく日本を離れて、私自身を鍛錬してくるよ。いつの日か、再び君たちに挑戦する。その時まで、さらばだ!諸君!」 






 ラストシーン


 魔天郎が消えた後、落合先生が乗った電車を追いかけるシーンになります。

 しかし、そのシーンの前にあった覇悪怒組のメンバーが純子先生から渡された落合先生の手紙を読むシーンが放送尺の関係でカットされています。





 その後、覇悪怒組の近くを電車が通り、「あの電車に落合先生が乗っているはず!」という純子先生の言葉を聞いて自転車に飛び乗り、ラストシーンへと繋がります。

 落合先生は、生まれ故郷の小さな村の分教場に先生がいなくなったため、竹早小学校5年3組の担任を辞めて故郷に帰ることにしたという。





 車内の落合先生の映像を見ると、手の下に魔天郎のストールによく似たものが見えます。

 そして、覇悪怒組と相対している時の魔天郎の口癖だった「覇悪怒組の諸君」という呼びかけ方と「さらばだ諸君」という言葉。

 また、覇悪怒組のメンバーたちの声が落合先生に届いた後に電車の上に登場する魔天郎。





 状況証拠をさりげなく散りばめることで、視聴者に「魔天郎の正体は落合先生である」という真実を伝えようとしているのかもしれません。

 視聴者に考えさせようとする作り手の想いを感じられますが、子供だった自分にはそこまで思い至らなかったです(笑)






 ラストシーンのロケ地


 覇悪怒組と落合先生、魔天郎との別れのシーンのロケ地は、秩父鉄道「大麻生駅」の近くにある大麻生ゴルフ場そばの土手だそうです。

 現在は陸橋が建設されていて、大きく様変わりしていますが、当時の面影は残っているようです。





 ストリートビューでは、土手を横切っている押切橋という陸橋の上から、覇悪怒組が脇道から土手に出たシーンの場所が確認できます。

 奥に見える建物は、大麻生ゴルフ場です。







 編集後記


 子供の頃に最終回を観た時は、魔天郎の正体がはっきりと示されなかったこともあってモヤモヤ感が残り、感動はしませんでした。

 しかし今回、大人になってから改めて観ると、落合先生との別れの切なさと演出の爽快感などが相まって、ちょっとした感動を覚えました。

 土手の風景が子供の頃よく遊んだサイクリングロードに似ていて、幸福な少年時代の思い出とともに童心に戻り、涙が出そうになりました。





 覇悪怒組の脚本は、江連卓(えづれ・たかし)さんと浦沢義雄さんによって9割方書かれています。

 江連さんは、幼少期に世界の児童文学を読み漁って血沸き肉躍る経験をしたため、「子供たちにもそんな思いをさせてあげたい」という欲求がすごく強かったそうです。

 そのため、子供たちを感動させること、それと同時に何か大事なメッセージを伝えることを常に考えていたといいます。

 そんな江連さんなので、最終回の魔天郎と覇悪怒組の朝食シーンと魔天郎が消えるシーンは、最後の晩餐とキリストの昇天をモチーフにしたのかもしれません。





 そういった直球系の江連さんに対して、浦澤さんは不条理ギャグやシュールコメディという変化球を得意としていました。

 “豆板醤婆ぁ”を始めとしたぶっ飛んだキャラクターとカオスな脚本を何度も生み出し、毎回、視聴者に混乱と戸惑いを与えました。

 しかし、そういった直球系のオードソックスな脚本と変化球系のカオスな脚本が化学変化を起こして、覇悪怒組という作品の幅を広げたように思います。

 今望むのは、覇悪怒組の円盤化と令和の世への覇悪怒組と魔天郎の復活ですーー。






【出典】「東映特撮Youtube Official
    「おもいっきり探偵団 覇悪怒組をたずねて


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