『シン・ウルトラマン』補足情報
2022年5月13日に公開になった映画『シン・ウルトラマン』。
作品をより深く楽しむために、『ウルトラQ』『ウルトラマン』を中心に補足情報を簡単にまとめてみました――。
ウルトラQ
『シン・ウルトラマン』の冒頭に登場する禍威獣は、『ウルトラQ』に登場した怪獣です。
【ゴメス】
ウルトラQ第1話「ゴメスを倒せ!」に登場した古代怪獣。東京と大阪を結ぶ弾丸道路のトンネル工事現場から現れました。
ウルトラQのゴメスがゴジラを改造したものだったため、シン・ウルトラマンのゴメスはシン・ゴジラを元に描かれているそうです。

【マンモスフラワー】
ウルトラQ第4話「マンモスフラワー」に登場した古代植物ジュラン。太古の巨大植物が蘇り、ビルを突き破って巨大な花を咲かせました。

【ペギラ】
ウルトラQ第5話「ペギラが来た!」、第14話「東京氷河期」に登場した冷凍怪獣。南極に現れたペギラは東京に上陸し、口から冷凍光線を吐いて東京の街を氷漬けにしました。

【カイゲル】
ウルトラQ第24話「ゴーガの像」に登場した貝獣。『ウルトラQ』では“ゴーガ”という名前でしたが、“カイゲル”に変更になっています。
カイゲルという名前は、ゴーガが出てくる話の没脚本での名前のようです。

【ラルゲユウス】
ウルトラQ第12話「鳥を見た」に登場した古代の巨鳥。普段は文鳥サイズですが、捕食する時に巨大化して動物や街を襲いました。

【パゴス】
ウルトラQ第18話「虹の卵」に登場した地底怪獣。パゴスの怪獣スーツはネロンガ、マグラーに改造され、最終的にガボラとなりました。
これは、劇中で、パゴス、ネロンガ、ガボラを“同族の禍威獣”と呼称するモチーフになっています。

【オマージュ演出】
『ウルトラマン』の主人公・ハヤタ隊員役の黒部進がウルトラシリーズに初めて登場したのは、ウルトラQ第8話「甘い蜜の恐怖」。
試験場の研究員役で、林の中でのシーンで白衣の姿でした。

『シン・ウルトラマン』の主人公・神永新二がベータカプセルで初めてウルトラマンに変身するシーンも同じく林の中で、白衣という姿です。

ウルトラマン
【実相寺アングル】
前衛的な撮影手法と演出で、“鬼才”と呼ばれた監督・実相寺昭雄が多様したカメラアングル。
画面の手前に物を入れ込んで、その奥に被写体を撮影するなめショットを得意としており、『シン・ウルトラマン』でもオマージュとして多様されています。
映画公開予定だった昨年が没後15年で、追悼の意味も込めたのでしょう。ちなみに、今年は実相寺監督の生誕85周年です。
・ウルトラマン第14話「真珠貝防衛指令」より

・ウルトラマン第15話「恐怖の宇宙線」より

・ウルトラマン第22話「地上破壊工作」より

・ウルトラマン第23話「故郷は地球」より

【ザラブ星人】
禍特対のオフィスに登場するザラブ星人の恰好は、ウルトラマン第18話「遊星から来た兄弟」の冒頭に出てくる時の衣装が再現されています。

また、ザラブ星人のデザインは、成田亨のデザイン画に近い形になっています。

【にせウルトラマンとの戦い】
ウルトラマンのスーツアクター・古谷敏は、にせウルトラマンの頭に軽くチョップをするシーンで、距離感を間違えて思い切り仮面に手刀を当ててしまいました。
小指を骨折したと思ったほどの痛さで、右手を振って全力で痛みを堪える人間的な動きになってしまいましたが、監督の意向でそのまま使われました。
この一連の動きと、その前後のザラブ星人との戦いがそのまま再現されています。

【ヒロインの巨大化】
劇中では、ヒロイン役の浅見弘子が巨大化します。
これは、ウルトラマン第33話「禁じられた言葉」でフジ隊員が巨大化してビル群に現れるシーンのオマージュ演出です。

なお、ロケ地は丸の内二丁目ビル付近で、上画像の両サイドのビルも現存しています。



【外星人か人間か】
劇中で、浅見弘子がバディを組んでいる神永新二に「あなたは外星人なの?それとも人間なの?」と問いかけるシーンがあります。
これは、ウルトラマン第33話「禁じられた言葉」のワンシーンのオマージュです。
メフィラス星人の「貴様は宇宙人なのか、人間なのか!」という問いに、ハヤタ隊員は 「両方さ。貴様のような宇宙の掟を破る奴と戦うために生まれてきたのだ」と答えています。

【屋内での変身シーン】
劇中では、ザラブ星人に囚われた建物から神永新二がベータカプセルを焚いて、建物を破壊しながらウルトラマンに変身するシーンがあります。
これはウルトラマン第31話「来たのは誰だ」で、吸血植物ケロニアとの戦いでハヤタ隊員が同様のパターンで変身するシーンのオマージュと思われます。

【宇宙人ゾーフィ】
劇中では、“ゾーフィ”というウルトラマンに似た外星人が登場します。
これは、児童誌に掲載されたゾフィーの誤情報をモチーフにしたもので、ゼットンを操って大暴れするという設定が生かされています。

解説サイト
最後に、『シン・ウルトラマン』について解説している複数のYoutube動画を見つけたので、紹介させて頂きます。
編集後記
『シン・ウルトラマン』は、これまで2回鑑賞。
1回目は帰社時間に近いちょうどいい上映時間が無かったので通常スクリーンでの鑑賞で、2回目は休日にIMAXでの鑑賞。
1回目は色々な場面に心の中で突っ込みを入れながらの鑑賞だったため、点が線にならず疑問と落胆だらけで「微妙」という感想。
しかし、2回目は内容を知っているため、点だったものがどんどん線になって物語への没入と登場人物への感情移入が深まり、初見の3倍くらい面白かったです。
IMAXの音響設備の効果もあったかもしれませんが、『シン・ウルトラマン』は初見で作品の評価を決めてはいけません。
作品中に『ウルトラQ』『ウルトラマン』『シン・ゴジラ』のオマージュや繋がりが偏在しているので、それを探しながら鑑賞するのも楽しいかもしれません。
“作品を深く知ることは、作品をより深く楽しむためである” 私の好きな言葉ですーー。
【出典】「シン・ウルトラマン」「ウルトラQ伝説」「成田亨画集 ウルトラ怪獣デザイン編」
「ウルトラマンになった男」
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